なぜいまホームページが企業にとって必要なのか

昨今、SNSなどの普及により自社のホームページやウェブサイトを持つことが少なくなった機会が増えてきたように感じます。とはいえ、ホームページが効果がないというという訳ではなく、それぞれの運用の目的や役割がそもそも異なるという点です。

なので一概にもホームページは効果がない、という断定的な考え方をするのでなく、あらゆる角度から多面的に考える必要があります。

あらゆる可能性や機能性など理解したうえで、現時点でホームページが必要かどうかを判断して、ホームページを「持つ・持たない」、必要なのは、「現時点である・将来である」、といった考え方ができれば良いと思います。

SNSではすべて代用できない事実

そもそもですが、SNSだけですべてを代用するというのは現実的に難しいはずです。

※ここでいうSNSとはInstagramやTwitter(現:X)とします。

SNSがホームページの代わりとなる場合というのはあくまで限定的な話であります。
日頃から活用できるといった点でいえば、実用性という点からとても限られてくると思います。

例えば、下記のとおり。

  • 一定のフォロワー数がありアカウントに「信頼性」という資産が貯まっている
  • 広報や窓口担当者が在籍しておりカスタマーやお問合せにも対応している
  • 商品PRの一環としてSNSからの流入が売上

広報(PR)の一環や商品のアピールとしてSNSを活用するという点は非常に強力でしょう。

とはいえ、これではホームページの代わりとなるのは不十分かと考えられます。

例えば、

  • 問い合わせをしたい場合
  • 利用規約やプライバシーポリシーを確認したいとき
  • 正社員やアルバイトの応募をしたいとき
  • 商品の詳細情報を知りたいとき

このようなユーザーも一定数いることは事実です。また、SNSとの役割も変わってきます。

どのように運用するかによって変化しますが、SNSではいわゆるバズを起こしたりインプレッション数を増やすためには広く浅く、興味が惹き付くような投稿をし続ける必要があります。

また、リーチする層も変わってきます。

SNSがもたらすリーチ層

  • トレンドや話題性に敏感な若年層
  • 短時間で広く情報に触れるライトなユーザー
  • フォロワーやフォロワーの周囲の人々(拡散効果)
  • SNS広告を通じてリターゲティングされたユーザー
  • 商品やブランドに一時的に興味を持っている潜在顧客
  • エンターテインメント性やインパクトを求める閲覧者

ホームページがもたらすリーチ層

  • 採用情報や求人に関心のある求職者
  • 詳細情報を求めている購買意欲の高い見込み顧客
  • 企業や事業の信頼性を確認したいBtoBの窓口担当者
  • 法人や公共機関など、正式な窓口を通じて連絡をしたいユーザー
  • 商品やサービスの条件比較をしたい慎重な購買層
  • 問い合わせフォームやサポート情報を必要とする既存顧客

このようにホームページとSNSでは役割が違うことが考えられるため、SNSのみでホームページの代わりとなるのは不十分です。

ホームページがもたらす2つの効果

ホームページはさまざまな効果がありますが、ここでは下記のジャンルに分けて解説していきます。

  • 直接的な効果
  • 間接的な効果

直接的な効果は「視覚情報」として伝わりやすい

直接的な効果というのは、ホームページ経由から何らかのアクションが行われた場合を指します。

  • お問い合わせが入ってきた
  • 資料請求をしてくれた
  • サイトを見て電話をしてくれた
  • 商品が購入された

Webで成果を達成させていく上で必ずゴール設定が必要となります。
その「ゴール」を考える場合において、直接的なものを指標にする傾向があります。悪いことではありませんが、これらは難易度が高いというのが現実です。

その理由も「指標として数値化しやすい」「成果につながる」「売上に直結する」といったように、視覚情報として分かりやすいため、そのような傾向があるかもしれません。

さらに自分が企業のウェブサイトのリニューアルを任される窓口担当者だった場合、上司や社内会議で説得や資料材料として数字で伝える必要があるため、このように目で見て分かりやすい、売上に◯◯%貢献した、といった分かりやすい言葉で伝えたほうが説得力が生まれやすいはずです。

成功する秘訣は「間接的な効果」にある

間接的な効果というのは直接的な効果とは違い、目に見えないような効果、ホームページ上では発生しない・しにくいような効果のことです。

  • 採用ページに掲載した社内イベントの写真やインタビュー記事を見た学生が「この会社で働きたい!」と思った
  • 大手企業がウェブサイトの「お客様の声」や「実績紹介」ページを見て、信頼できそうだと思い、取引先として決めた
  • 検索エンジンからたどり着いたユーザーがブログ記事を読み、サービスに興味を持って問い合わせフォームから連絡をする
  • 既存顧客がカスタマーサポートでトラブルの解決法を見つけ、さらにその便利さをSNSでシェアした所、拡散されて話題になった
  • 競合他社にはない事例紹介や詳細な情報が掲載されていて、企業の窓口や代表が「ここに依頼しよう」と決めた
  • ウェブサイトでブランドの創業秘話を読んだユーザーが「共感したから応援したい」と商品を購入するきっかけになった

上記は具体的なコンバージョン(CV)や分かりやすい指標として効果が数値化されにくいものばかりです。

  • 「社内会議で参考事例として挙がった」
  • 「担当者が複数の参考サイトから一番良いと感じてた」
  • 「知り合いのSNSでシェアされていたのを見つけた」

といったように日常のシーンでふわっと挙げられやすい点であるといえます。

ただし、ホームページにおいてはこういった指標のほうが大切です。

ホームページを新しく作ったり、リニューアルする際には上記にあるような間接的な効果で得られることから考えて設計していくと良いでしょう。

仮にお問い合わせ数が少なかったとしても、別の部分で効果に繋がっていれば問題ありませんし、間接的な効果は時間の経過とともに必ず直接的な効果に繋がることがほとんどだからです。

マーケティングにおいては、ホームページ、自社商品、自社サイトなど「第一想起」される考え方が重要です。

第一想起というのは、ユーザーが何かの商品を買いたいと思ったときに、一番はじめに思い浮かぶブランドや商品のことです。

例えば、掃除機→ダイソン、コーヒー専門チェーン店→スタバやタリーズ、スマホ→iPhone、Android、カメラといえばSONYやニコンなど、なんとなくそれぞれが思い浮かぶブランドや商品があると思います。

そのような方は商品を購入したりサービスを利用したりとまではいかないが、ホームページから商品やサービスを閲覧したりなど、何らかの行動を起こすことが多いでしょう。

このように第一想起されるサービスや商品はすでにファン化されていた、もしくは認知されている状態であるということから「購入率」が高い可能性が十分にあるといえるでしょう。

ホームページでは具体的なコンバージョンを求めるより、このように第一想起されたユーザーが利用するといった観点も大切にして施策や指標に組み込んだ上で、客観的に判断すべきでしょう。

うまくいかない目標設定

  • お問い合わせ数を毎月◯◯件達成する
  • 求人応募を毎月◯◯件増やす
  • ホームページ上での商品購入率を◯◯%向上する
  • 店舗への来店予約をホームページ上から確定させる

これらを達成させることはほぼ難しいでしょう。

例えば達成させるなら下記のような何らかの目標を設定しても良いでしょう。

「具体的なアクション」を含む目標

  • 「お問い合わせフォームの入力項目を簡素化し、フォーム送信率を10%向上させる」
  • 「求人応募ページに具体的な福利厚生の情報を追加し、ページ滞在時間を30秒増加させる」

「ユーザー行動の分析」をベースにした目標

  • 「商品詳細ページへのアクセス数をSEO対策により20%増やす」
  • 「来店予約ボタンのクリック率を、目立つデザインや配置の変更で1ヶ月以内に15%向上させる」

「段階的な改善」を狙った目標

  • 「お問い合わせ数を増やすため、月に1本の成功事例ブログを公開し、検索流入を5%ずつ増加させる」
  • 「求人応募数を増やすため、現社員のインタビュー記事を3本掲載し、応募者の信頼感を高める」

「ユーザー体験の向上」にフォーカスした目標

  • 「ECサイトのカート離脱率を、購入ボタンのデザイン変更とプロモーションコードの表示で5%削減する」
  • 「来店予約ページの読み込み速度を2秒以内に短縮し、予約完了率を10%向上させる」

「結果ではなくプロセス」に焦点を当てた目標

  • 「問い合わせ数を増やすため、訪問者が最初に目にするバナーをA/Bテストし、最適なデザインを1ヶ月以内に選定する」
  • 求人応募率を上げるため、現状の応募フォームのエラーメッセージを改善し、途中離脱率を20%削減する」

「数字に裏付けられた具体性」のある目標

  • 「商品購入率を向上させるため、関連商品の提案機能を実装し、購入率を1ヶ月で0.5%改善する」
  • 「来店予約数を増やすため、予約可能な時間帯を可視化し、1週間で予約フォームの完了率を10%向上させる」

これらの目標は、達成可能な具体的なアクションを盛り込んでいるため、取り組みが明確で、改善の余地を可視化しやすいです。

例えば、もっと簡素化しても良いと思いますし、具体的に改善したい数値から逆算して設計するのも良いかもしれません。

お問い合わせ数の目標

  • 毎月のお問い合わせ数を現状の◯◯件から3ヶ月以内に◯◯件に増やすために、フォームの項目数を減らし、CTAボタンを目立つ位置に配置する。
  • お問い合わせページのアクセス率を今月中に10%向上させるために、関連ブログ記事の末尾にリンクを設置する。

求人応募の目標

  • 人応募ページの滞在時間を2分以上に増やすため、社員インタビュー動画を新たに追加する。
  • 応募者の離脱を減らすために、求人フォームの入力項目数を半分に削減し、結果を1ヶ月後に分析する。

商品購入率の目標

  • 購入完了までのステップ数を減らし、カート放棄率を次の1ヶ月で20%削減する。
  • 商品ページにユーザーレビューを10件以上追加し、購入率を2%向上させる。

店舗への来店予約の目標

  • ホームページの予約ボタンを見やすい場所に配置し、クリック率を3ヶ月で1.5倍にする。
  • 予約完了後に自動でクーポンコードを発行し、来店率を月末までに10%向上させる。

上記のように分解することで、具体的な結果や数値を設定することができます。

さらに企業や上層部の方などステークホルダーが多く関わる場合の共通する目標やアクションプランを設定することも大切です。

達成方法を明示させる

 例:「お問い合わせ数を毎月50件達成」ではなく、「お問い合わせ数を毎月10件増やすためにフォーム改善を実施する」と設定。

単に目標を掲げるだけでなく、「フォームの簡略化」や「レビュー追加」など具体的なアクションを示す。

時間軸を明確化

  • 短期的な期限(例: 1ヶ月以内)を設定して進捗を確認しやすくする。

測定可能な指標を使用

  • クリック率、コンバージョン率、滞在時間など具体的な数値を基準にする。

これなら目標達成に向けた行動が明確になり、成功しやすくなります

想起されやすいといった施策が大切です。

日常の中でふと思い出すこともあると思います。

ホームページの大切さをもう一度考えてみよう

改めて、振り返ってみます。

ホームページは、情報を伝えるだけでなく、会社やサービスの信頼を見せるための大切な場であるといえます。

SNSとホームページは、それぞれ得意なことが違います。

SNSは「広く知ってもらう」、ホームページは「じっくり信頼を得る」。どちらも大事な役割を持っています。SNSとホームページはそれぞれ役割が違いますが、上手に組み合わせることでお互いを補い合うことができます。

SNSは広く知ってもらうためのツール

短い時間で多くの人に情報を届けたり、一時的な話題を作るのが得意です。ただし、長く信頼してもらうためには工夫が必要になる。

ホームページは詳しい情報を伝える場

問い合わせや商品の購入、採用応募など、具体的な行動をしてもらう場所として役立ちます。

さらに、ホームページには「直接的な効果」と「間接的な効果」があります。直接的な効果とは、例えば「問い合わせが増えた」や「商品が売れた」など、目に見える成果のことです。

一方、間接的な効果とは、「会社に良い印象を持った」「他社との違いが分かった」など、一見わかりにくいけれど大事な効果を指します。

この間接的な効果が、時間をかけて最終的に大きな成果につながることが多いです。また、目標を立てるときは、実現可能で具体的なものにすると分かりやすくなります。

例えば、「問い合わせを増やしたい」ではなく、「問い合わせフォームを使いやすくして、送信数を10%増やす」といった目標を設定するのが良いでしょう。

最後に大事なのは、ホームページとSNSを上手に組み合わせてより多くの人に会社やサービスを理解してもらうことです。

それが、問い合わせや売上など、具体的な成果につながっていくことだと思います。


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